5日目・後編(2017/10/10)
(「小樽ミニ散策・観光編~秋の小樽運河を歩く~―2017年 秋の道央を巡る旅・Part4」の続き)
旅行5日目の行程:
10:00 札幌駅 → (函館本線)11:20 小樽駅 → 小樽駅構内 散策(いまここ!)→ 11:40 小樽市内散策 → 11:50 手宮線跡地 散策 → 12:30 小樽運河 → 13:30 小樽駅 → 札幌駅 → 新千歳空港〈完〉
※旅行5日目の旅行記は時系列ではなく、内容に応じて観光編(前回)と鉄道編(本記事)に分けています。本記事は上述の行程のうち赤字部分が対象です。
小樽駅
小樽駅は北海道小樽市にある函館本線の主要駅で、小樽観光の拠点にもなっているターミナル駅です。
2021年現在の小樽駅の駅舎は1934年に建てられた3代目駅舎。建築から80年以上が経過した歴史ある駅舎で、国の有形登録文化財にも指定されています。
そんな小樽駅構内には随所にレトロな雰囲気が残されていました。
1・2番線ホーム
午前11時20分頃に小樽駅に到着した私は、小樽駅の1・2番線ホームに降り立ちました。
- 小樽駅に到着した区間快速・小樽行きの列車
- 小樽駅 駅名標
- 小樽駅1・2番線ホーム端から倶知安方面を望む
ホームから改札へと向かう階段を降りようとしたとき、階段の奥にオブジェが置かれていることに気づきました。
階段の奥側へと回るとそこには「むかい鐘」と書かれたオブジェが置かれており、多数の鐘が吊るされていました。
- むかい鐘(ミニチュア版)(小樽駅1・2番線ホーム上)
「むかい鐘」は1965年頃まで小樽駅の列車到着の予報として鳴らされていた鐘です。ホーム上にある鐘は2000年に作られたミニチュア版だそうですが、実際に使われていた「むかい鐘」は小樽駅の駅舎入口に置かれているそうです(私は確認できずに見落としてしまいましたが…)。
また、その近くにはレトロな雰囲気の駅名標も置かれており、戦前までは日本でもよく使われていた右横書きで書かれていました。
- 右横書きの小樽駅の駅名標(小樽駅1・2番線ホーム上)
4・5番線ホーム(札幌側)
駅舎に面する4番線ホームの壁面はレトロな風合いを漂わせていました。
- 小樽駅4番線ホーム(ホーム中央付近)
小樽駅の4・5番線ホームは、倶知安側は1面1線のホームになっていますが、札幌方面に向かって歩くと切り欠き式の5番線ホームが出現します。
- 小樽駅4・5番線ホーム(札幌側)。左手の5番線は切り欠き式の頭端式ホームになっている
- 小樽駅4・5番線ホームの支柱に取り付けられたランプ
裕次郎ホーム(4番線ホーム・倶知安側)
4番線ホームの中ほどには改札へと向かう階段・エスカレーターがあります。その奥(倶知安側)にはノスタルジーでおしゃれな空間が広がっていました。
- 小樽駅4番線ホーム(倶知安側)。幼少期を小樽で過ごした石原裕次郎にちなみ「裕次郎ホーム」と名付けられている
- 小樽駅4番線ホーム(倶知安側)
- ホーム奥に置かれた石原裕次郎の等身大パネル
このエリアは小樽ゆかりの俳優・石原裕次郎にちなみ「裕次郎ホーム」と名付けられたエリア。歴史ある小樽駅構内でも特にレトロ感が満載なエリアで、まるで昔にタイムスリップしたかのような異空間でした。
駅舎
4・5番線ホームのエスカレータを降りると、左手には天井の低い通路、右手には改札口があります。
- 小樽駅の1・2番線ホームへと向かう通路
- 小樽駅 改札口(駅構内側から撮影)
改札口の上にはランプが飾られており、おしゃれな雰囲気になっていました。
- 小樽駅 改札口。上部にはランプが飾られている
- 小樽駅 駅舎内の様子
小樽駅に降り立ってから約20分。小樽駅を満喫した私は小樽駅を後にして日銀通りへと向かいました。
- 小樽駅前の様子。真正面には遠くに海が見えている
- 小樽駅 駅舎
手宮線跡地~道内最古の鉄路跡地を歩く~
旧国鉄・手宮線
日銀通りを歩いていると、道路を横断する形で今は亡き鉄路の線路が敷かれていました。
その名は「手宮線」―北海道最古の鉄路でありながら1985年に廃止となった全長わずか2.8kmのミニ路線です。
- 手宮線跡地(日銀通りから手宮方面を望む)。日銀通り側の入口には手宮線跡地を示す銘板と花壇が置かれていた
手宮線はかつて小樽市の南小樽駅と小樽市の手宮駅を結んだ全長2.8kmの路線です。とても短い路線でしたが、その歴史は古く、1880年に札幌と手宮を結んだ日本で3番目の鉄道、そして北海道初の鉄道の一部として開業しました。
手宮線は旅客営業も行っていましたが、小樽港への貨物を運ぶ貨物営業をメインとした路線でした。しかし旅客・貨物ともに利用が減少し、1962年には旅客営業が廃止。そして1985年、貨物輸送がなくなってしまった手宮線は存続理由を失い、開業から105年の歴史に幕を下ろすことになりました。
廃線後の手宮線は、一部を除いて手つかずのまま放置されていました。しかし小樽市が2001年から15年かけて末端の約1.6kmを整備し、現在は線路の残る廃線跡の遊歩道として小樽の新たな観光スポットになりつつあります。
今回はそんな今は亡き手宮線跡地の遊歩道を散策します。
手宮線跡地(日銀通り~南端(寿司屋通り))
まず散策したのは日銀通りの南側(南小樽方面)の遊歩道。
- 手宮線跡地(日銀通りから南小樽方面を望む)
- 手宮線跡地(日銀通り~寿司屋通り)
日銀通りから約200mほど歩くと遊歩道の南端に到達します。かつて南小樽駅へと延びていた線路はここで途切れていました。
- 手宮線跡地 遊歩道南端
- 手宮線跡地(遊歩道南端から手宮方面を望む)
- 手宮線跡地(遊歩道南端から手宮方面を望む)
- 手宮線跡地の遊歩道南端から南小樽方面を見る。南端に面する寿司屋通りを挟んだ反対側に手宮線の築堤跡がそのまま残されていた
今回の散策ではここを起点に手宮線跡地の遊歩道を北へと歩いていきます。
手宮線跡地(日銀通り~中央通り)
日銀通りまで戻った私は道路を渡り手宮方面に延びる線路を歩きます。
- 手宮線跡地(日銀通りから手宮方面を望む)
日銀通りから手宮方面の遊歩道に入ると、すぐ左手に待合室のようなものが見えてきます。
- 復元された色内駅の駅舎。当時の駅舎をアレンジした上で2011年に休憩所として復元された
ここはかつて存在した手宮線唯一の中間駅・色内駅跡地。色内駅は南小樽駅から1.1kmのところにあった駅で、日銀通りや小樽文学館・小樽美術館に隣接していました。
- 復元された色内駅の駅舎(休憩所)。裏手の建物は小樽文学館・美術館
- 色内駅のホーム。現役当時のものか復元されたものかは不明
- 色内駅跡地の碑
- 線路北側から見た色内駅周辺。この辺りは紅葉が進んでおり、木々が所々色付いていた
手宮線跡地の線路沿いは遊歩道として綺麗に整備されており、所々に花壇が植えられていました。私は歩道側を歩いたり線路の上を歩いたりしながら散策しました。
- 手宮線跡地(日銀通り~中央通り)
- 手宮線跡地(日銀通り~中央通り)
そして日銀通りから歩くこと約300m、私は中央通りに到達しました。
- 中央通りと交差する手宮線跡地
- 手宮線跡地(中央通りから南小樽方面を望む)
- 手宮線跡地(中央通りから南小樽方面を望む)
手宮線跡地(中央通り~北端(小樽市総合博物館))
中央通りを横断した私はさらに北側へと歩みを進めました。手宮線跡地の両脇には少し古めの民家などが建ち並んでおり、かつての手宮線がこういう住宅街の中を走っていたことをうかがい知ることができます。
- 手宮線跡地(中央通りから手宮方面を望む)
- 手宮線跡地(中央通り~小樽臨港線)
- 手宮線跡地の碑
- 手宮線跡地(中央通り~小樽臨港線)
- 手宮線跡地(中央通り~小樽臨港線)
- 手宮線跡地(小樽臨港線から手宮方面を望む)
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)
さらに北へと歩みを進めると、単線だった線路はやがて複線となりました。
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)。車止めが設置されており、ここから北側(写真手前側)は複線となる
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)。線路が複線になっていた
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)。この辺りは遊歩道がジグザグに作られていた
- 手宮線跡地(小樽臨港線~小樽市総合博物館)。線路が大きく右にカーブしながら分岐している
- 手宮線跡地に残る分岐器のレバー
そして線路が大きく右にカーブをするようになると、1.6km続いた手宮線跡地の遊歩道も終わりを迎えます。寿司屋通りに面する遊歩道の南端から歩き始めて約25分の散策でした。
- 手宮線跡地の北端。奥に見えるのは小樽市総合博物館の敷地
- 手宮線跡地の北端
- 手宮線跡地の北端に置かれた車輪
- 手宮線跡地の北端
- 手宮線跡地の北端
ちなみに道路を挟んだ北側には小樽市総合博物館があります。鉄道展示を中心とした博物館で、手宮線の終点・手宮駅跡地はこの博物館の敷地内にありました。
しかしこの日はまさかの休館日。残念ながら敷地内に入ることは叶いませんでした。
- 小樽市総合博物館 入口
- 外から覗いた小樽市総合博物館の敷地内の様子。手前には転車台、奥には車両が置かれていた
- 博物館の入り口近くに置かれたオブジェ
旅の終わり
この後、小樽運河を散策(前回記事参照)した私は、13時半頃に小樽駅に戻ってきました。そして快速「エアポート」新千歳空港行きに乗り込み、札幌駅へと向かいました。
- 小樽駅から乗車した快速エアポート
小樽駅を出発した列車からは、しばらくすると行きと同じく石狩湾の絶景が広がります。しかも今度は海側の線路を走っているので列車ギリギリまで海が迫っていました。
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
- 旧・張碓駅跡地と思われるスペース。張碓駅は2006年に廃止となった伝説の秘境駅。写真の堤防前のスペースは上りホーム跡の可能性が高い
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
- 函館本線から望む石狩湾(朝里~銭函)
石狩湾の絶景区間を抜けた列車は札幌の市街地を走り抜け、札幌駅に到着しました。そして駅前のホテルに預けていた荷物を回収した私は再び札幌駅へと向かい、快速「エアポート」で旅の終点・新千歳空港へと向かいました。
ここまで「2017年10月 秋の道央を巡る旅」の旅行記を書いてきましたが皆さまいかがだったでしょうか。札幌・小樽の観光、廃止前の札沼線・夕張支線の乗車、道内最古の鉄路・手宮線跡地の散策など、充実した4泊5日の旅行となりました。
以上をもって「2017年10月 秋の道央を巡る旅」の旅行記を終わりにしたいと思います。
次回からは2019年5月~10月に渡り公開した「2018年02月 北海道一周の旅Ⅱ」の旅行記を新装版旅行記として再編集していきたいと思います。会社員NK史上最大の8泊9日に及んだ人生二度目の冬の北海道一周の旅。その記録を備忘録として残していきたいと思います。
次回以降も是非ともご愛読くださいますようよろしくお願いします。
「2017年10月 秋の道央を巡る旅」のその他の記事はこちら、その他の旅行記はこちら
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