JR芸備線 横断の旅―2017年 中国地方のローカル線を巡る旅・Part5

2日目 後編~3日目(2017/8/15~8/16)

(「在りし日の三江線・片道8時間の旅(後編)―2017年 中国地方のローカル線を巡る旅・Part4」の続き)

旅行2日目の行程:
5:10 三次駅 → 5:40 JR三江線 → 13:40 江津駅(いまここ!) → 14:30 浜田駅 → 14:40 広島行き高速バス → 17:00 広島駅 → JR芸備線 → 19:30 三次駅(泊)

旅行3日目の行程:
9:00 三次駅 → JR芸備線(下深川~三次)→ 11:30 三次駅 → 13:00 JR芸備線(三次~新見)→ 16:00 新見駅 → 17:40 岡山駅 〈完〉

※この旅行記は2019/1/2公開の旧版旅行記および2019/2/23公開の旧版旅行記を基に再編集したものです。

JR芸備線 横断の旅

高速バスで広島へ

旅行2日目。定刻より約4時間遅れの13時36分に三江線の終点・江津に到着した私。この日は荷物を三次のホテルに預けたままだったため、ここから三次へと帰還する必要がありました。

最も単純な方法は再び三江線に乗車して三次へと向かうことでした。しかし合計8時間に渡り十分すぎるほど三江線を堪能し疲れ果てた私にはもはや三江線に再び乗るという選択肢は考えられませんでした。

そこで私が取った手段。それは山陰本線で6駅隣の浜田駅へ向かい、浜田から広島へと走る高速バスに乗車、広島から芸備線で三次へと戻る、という方法でした。

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次の山陰本線・浜田行きの列車は13時40分発予定でした。ところがこの列車も前日の大雨の影響で大幅に遅れていました。

そして最終的には定刻より28分遅れの14時08分に江津駅を出発しました。

 

 

浜田駅には14時35分頃に到着しました。ここから広島行きの高速バス「いさりび号」に乗るのですが、次の便は14時45分。列車が遅れたためにわずか10分しかありませんでした。

浜田駅を下車した私はダッシュで駅前の高速バス乗り場へと向かいました。乗車券は未購入でしたが、係員によると目の前のコンビニで買えるとのことだったため、急いで乗車券を購入しました。

そして何とか14時45分発の高速バスに間に合った私は広島駅へと向かいました。

JR芸備線(広島~下深川~狩留家)

17時過ぎに広島駅前に到着した私はそのまま広島駅構内へと入り9番線ホームへと向かいました。ここから乗車するのはJR芸備線という路線です。

芸備線は広島市の中心駅である広島駅と岡山県北西部の山間の駅・備中神代を結ぶ全長159.1 kmの路線です。

広島~三次の区間は広島への通勤通学路線になっていますが、三次より東側はローカル線と化しています。特に備後落合~東城の区間は1日3往復しか走らない秘境区間となっていました。

この日の宿は前日と同じく三次でしたが、三次行きの列車は発車したばかりで次の三次行きの列車まで1時間弱待つ必要がありました。

そこで時間つぶしのために17時25分発の狩留家行き普通列車に乗車し終点の狩留家へと向かいました。

広島~狩留家の区間は近郊区間ということもあり住宅街や工場などが多かったですが、途中の区間では山と川が織りなす自然の光景も少しだけ見られました↓

そして列車は定刻通り終点の狩留家駅に到着しました。

狩留家駅は列車の交換が可能な1面2線の小さな駅で、駅前にある小さな公園が可愛らしいこじんまりとした駅でした。

その後、折り返しの広島行きの列車に乗った私は途中の下深川で下車し、反対方面の快速「みよしライナー」三次行きに乗り込みました。

そして日も完全に暮れた19時27分、列車は終点の三次に到着しました。約14時間にも及んだ旅行2日目。その旅路もようやく終わりを迎えました。

JR芸備線(下深川~三次)

旅行3日目(最終日)の朝、私は三次駅へとやってきました。

前日の夕方、下深川~三次の間で日没を迎えたので乗りつぶしのため三次~下深川の区間を往復しました。

まずは三次駅9時6分発の普通・広島行きに乗り下深川駅で下車しました。その後、下深川に入線した快速「みよしライナー」三次行きに乗車しました。

列車は定刻通り11時26分に終点の三次に到着しました。

この後は次の列車まで時間があったのでしばらくの間、三次駅周辺で時間を潰していました。

JR芸備線(三次~備後落合)

12時半ごろに三次駅構内に戻ると、すでに備後落合行きの列車が入線していました。大都市・広島に向かう列車は長いと4両編成のこともありますが、備後落合行きの列車は三江線と同様の一両編成の列車でした。

そして13時01分、列車は定刻通り三次駅を出発しました。

備後落合へと向かう列車の車窓からはこれまでと打って変わって山間に開けたのどかな田園風景が見受けられました。

終点・備後落合の一つ手前の比婆山駅を発車した列車は、西城川を左手に見ながらさらに山奥へと入っていきます。車窓には今まで以上の大自然が広がっていました。

山の中の幾つものトンネルを抜けると、列車の進行方向左手に線路が見えてきました。昨日乗りそびれた秘境路線・木次線の線路です。

そして三次駅を出発してから約1時間20分後の14時21分、列車は定刻通り備後落合駅に到着しました。

備後落合駅

備後落合は芸備線と木次線が乗り入れる主要駅の一つです。しかし山に囲まれた備後落合駅は秘境駅ランキングで125位(2019年2月現在)に入るなど秘境駅としても知られています。

備後落合は2路線が乗り入れる主要駅ですが、2面3線の小さなホームと平屋の駅舎があるだけのこじんまりとた駅でした。周りは山に囲まれ、駅前通りも下の国道へとつながる細い道が1本あるだけでした。

私が備後落合駅に到着した数分後、新見から来たオレンジ色の1両編成の普通列車が到着しました。

気がつくと木次線が発着する1番線ホームには多くの人が集まっていました。

それからしばらくすると、秘境路線として名高い木次線の列車が到着しました。

こちらには多くの人が乗っており、扉が開くと乗客が次から次へと降りてきました。そして3本の1両編成の列車が到着した秘境駅は束の間の賑わいを見せていました。

JR芸備線(備後落合~新見)~1日3往復の秘境区間を行く~

備後落合に到着してから16分後の14時37分、私の乗る普通・新見行きの列車は定刻通りに備後落合を出発しました。

ここ備後落合から途中の東城までの区間は1日3往復しか走らない芸備線屈指の秘境区間です。その車窓はまさに秘境にふさわしい光景でした↓

途中の内名駅の前後では進行方向左手に成羽川という川が流れていました。遠くに少し民家が見える程度の人里離れた山の中を走る列車。その車窓からはしばらくの間、川と草木が織りなす光景が広がっていました。

東城を出発して秘境区間を抜けた後も列車は山間を走り抜けました。そして備後落合を出発してから1時間半後の16時ちょうど、列車は終点の新見に到着しました。これをもって広島駅から続いたJR芸備線159.1kmの旅は終わりとなります。

新見駅

新見駅は伯備線、芸備線、姫新線の3つが乗り入れる主要駅の一つです(芸備線は厳密には2つ手前の備中神代までですが、全列車が新見駅まで乗り入れています)。特に岡山と伯耆大山を結ぶ伯備線は岡山を発着する特急「やくも」が走る主要路線で、新見駅はその停車駅の一つになっています。

到着した1・2番線ホームは三次方面へと向かうJR芸備線と津山方面に向かうJR姫新線が発着するホームになっていました。

次の列車まで時間があったのと、この先の区間で乗車する特急や新幹線の切符類をまだ購入していなかった(※ここまでは青春18きっぷで乗車)ので、私は新見駅の改札口へと向かいました。

新見駅前は比較的栄えていましたが、奥には山が見えていました。

新見駅のみどりの窓口は購入口が一つしかなく列が出来ていましたが、何とか切符を購入できました。切符を購入した私はその足で改札内に入り、伯備線が発着する3・4番線ホーム(2019年より5・6番線ホームに番号変更)へと向かいました。

旅の終わり

ホームのベンチに座っていると、ホーム上を歩くクワガタの姿がありました。

クワガタを見ながらお盆ももう終わりだなと思っていると、3番線に特急「やくも」岡山行きが入線しました。

特急「やくも」岡山行きは定刻通り16時37分に新見駅を出発しました。車窓からは時おり大きく蛇行する高梁川の雄大な姿が見えていました。

日が暮れ始めた17時38分、列車は終点の岡山駅に到着しました。ここからお盆休みの帰省客で混雑する新幹線に乗り、2泊3日の旅の記憶を胸に東京への帰路につくのでした。


ここまで新装版旅行記の第二弾となる「2017年08月 中国地方のローカル線を巡る旅」の旅行記を書いてきましたが皆さまいかがだったでしょうか。いまは亡き三江線を筆頭に、岡山・広島のローカル線を巡った今回の旅。2泊3日の短くも濃密な旅路でした。

以上をもって「2017年08月 中国地方のローカル線を巡る旅」の旅行記を終わりにしたいと思います。

次回からは旧版旅行記でもまだ書いていなかった「2017年10月 秋の道央を巡る旅」を書きたいと思います。2020年4月に廃止となったJR札沼線の末端区間や2019年3月に廃止となった石勝線の夕張支線。今は亡き路線の在りし日の姿を備忘録として残したいと思います。

 

次回以降も是非ともご愛読くださいますようよろしくお願いします。

「2017年08月 中国地方のローカル線を巡る旅」のその他の記事はこちら、その他の旅行記はこちら

 

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