4日目・前編3(2018年12月18日)
~日本最西端のローカル線・松浦鉄道の旅〈後編〉~
(「異国と歴史の街・平戸ミニ観光―2018年 九州北部一周の旅・part19」の続き)
旅行4日目の行程:7:30 佐世保駅→8:10 松浦鉄道(有田側)→10:00 平戸ミニ観光→12:30 松浦鉄道(佐世保側)(いまここ!)→14:10 佐世保駅→15:00 JR大村線・長崎本線→18:00 長崎駅→19:00 夜の長崎観光(出島散策)→21:00 長崎駅(泊)
日本最西端の鉄道・松浦鉄道の旅〈後編〉
たびら平戸口駅
平戸桟橋バス停 12時10分発の西肥バス・松浦駅前行に乗車した私は、平戸口駅前バス停で下車しました。そこから約150m歩いて12時半前に日本最西端の駅・たびら平戸口駅に戻ってきました。
- たびら平戸口駅 駅舎
- たびら平戸口駅 駅舎上部の日本最西端の駅の看板
- たびら平戸口駅 駅前の日本最西端の駅の石碑
駅舎の中に入ると、朝に来たときには閉まっていた駅舎内の屋台が空いており、多くの客で賑わっていました。
- たびら平戸口駅 駅舎内の屋台
- たびら平戸口駅 改札口
佐世保方面の次の列車は12時48分でまだ15分ほど時間があったので、先ほどあまり見られなかった駅舎内の鉄道博物館を見学しました。
鉄道博物館の中には、松浦鉄道や前身の国鉄・松浦線に関わる様々なものが展示されていました。
- たびら平戸口駅の鉄道博物館
- たびら平戸口駅 鉄道博物館の展示物
- たびら平戸口駅 鉄道博物館に展示されたジオラマ
- たびら平戸口駅 鉄道博物館の展示物
- たびら平戸口駅 鉄道博物館に展示された昔の行先案内板
展示物の中には昔の時刻表も展示されていました↓
(博物館には他の年の時刻表も幾つか展示されていました)
- たびら平戸口駅 鉄道博物館に展示された昔の松浦線の時刻表(1968年3月25日改正)
- たびら平戸口駅 鉄道博物館に展示された昔の松浦線の時刻表(1986年3月13日改正)
これを見ると、昔の松浦線には急行「九十九島」(1968年に急行「平戸」に改称)という急行列車が1日1本走っていたようでした。1962年に運転を開始した準急「九十九島」が1966年に格上げされたもので、かつては博多駅から筑肥線・松浦線・長崎本線経由で長崎駅まで結んでいました。しかし1983年の筑肥線・博多~姪浜間の部分廃止に伴い唐津~長崎間に短縮され、そして1988年4月の松浦鉄道への移管に際して急行「平戸」も終焉を迎えたそうです。
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また展示物の中には昔の松浦線の路線図も乗っていました。
- たびら平戸口駅 鉄道博物館に展示された1924年の松浦線の路線図
- たびら平戸口駅 鉄道博物館に展示された1945年の松浦線の路線図
松浦鉄道の大元になったのは佐世保側に作られた佐世保鉄道と伊万里側に作られた伊万里鉄道の2路線。その後、戦前までに国鉄に買収されて松浦線と伊万里線になった両路線は、1944年に伊万里線が肥前吉井まで延伸したことで全通し、国鉄・松浦線として今の形になりました。
上の写真の右側の路線図を見てみると、1945年時点では国鉄・松浦線には3つの支線(世知原線、臼ノ浦線、柚木線)がありました。これらの路線は鉱山から石炭を運び出すための路線でしたが、鉱山の相次ぐ閉山によりいずれの路線も衰退しました。柚木線は朝夕2往復だけとなっていたところに水害が襲い1967年に廃止、残る世知原線と臼ノ浦線も1968年に廃線対象リストである赤字83線に選ばれ、共に1971年に廃止となりました。
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展示物の中には、日本最西端の駅・たびら平戸口駅を訪れた著名人のサインが飾られていました。その中には、ジャストミート!で有名な福澤朗さん(色紙にも「松浦鉄道にジャストミート!!」と書かれていました)や、明石家さんまの娘でタレントのIMARUさんなどがいました。
- たびら平戸口駅を訪れた有名人の色紙
そして一通り展示物を見終えた後は、併設されている駅事務所で「日本最西端の駅 訪問証明書」を購入しました。
- 日本最西端の駅 訪問証明書
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鉄道博物館を後にした私は、駅員の許可を取って列車が来る前の駅構内に入りました。
- たびら平戸口駅 ホーム(佐世保方面)
- たびら平戸口駅 ホーム(伊万里方面)
- 日本最西端の駅の看板
- 日本最西端の駅の看板
- たびら平戸口駅 構内踏切と2・3番線ホーム
そして1番線で待機していると、1番線ホームに同じく12時48分発の普通・伊万里行きの列車が入線しました。
- たびら平戸口駅 1番線に入線した伊万里行きの列車
私はこのタイミングで自分が乗る佐世保行きの列車が発車する2・3番線へと向かいました。そして伊万里行きの到着から数分、3番線に普通・佐世保行きの列車が入線しました。
- たびら平戸口 3番線に入線する普通・佐世保行きの列車
- 列車側面に貼られた佐世保鉄道のマスコット「マックスくん」
- たびら平戸口駅 2・3番線ホームの屋根。かなり錆びついていた
- 車内から見るたびら平戸口駅
私を乗せた列車は、12時48分に定刻通りたびら平戸口駅を発車しました。ここから約1時間20分に渡る松浦鉄道の旅の後半戦が始まりました。
松浦鉄道の旅(たびら平戸口~佐世保)
たびら平戸口駅の次の停車駅は西田平駅。駅名標には「田平天主堂と昆虫の里」と書かれていましたが、駅の周囲はのどかな山村でした。
- 西田平駅 駅名標
- 西田平駅 待合スペース
この後は内陸部を走ることが多かったですが、時おり海や港を見かけるときもありました。
- 松浦鉄道の車窓(西田平~すえたちばな)
- すえたちばな駅
- 松浦鉄道の車窓(すえたちばな駅発車直後)
- 江迎鹿町駅 駅名標
- 江迎鹿町駅 ホーム
- いのつき駅 待合室
- 吉井駅 駅名標
- 吉井駅 ホーム
- 吉井駅ですれ違った列車に書かれた絵
- 真申駅
- 相浦駅
- 相浦川(相浦~大学)
途中にはこんな駅もありました↓
- 大学駅 待合室
- 大学駅 駅名標
その名も「大学駅」。○○大学駅の名前ならよくありますが、ずばり「大学駅」は珍しいです(というよりおそらくここだけっぽいです)。由来は近くにある長崎県立大学佐世保港だそうで、駅名標の横には神棚もあることから大学入学にあやかって全国から入場券を買い求める人がいるそうです。
この後も列車は主に内陸部を走り続けます。
- 上相浦駅
- 本山駅ですれ違った列車
- 松浦鉄道から眺める弓張岳(中里駅付近)
- 皆瀬駅
- 車内に吊るされたシンデレラエクスプレスの案内
- 松浦鉄道から見る相浦川(皆瀬~野中)
- 左石駅。かつてここから柚木線が分岐していた
- 佐世保川(泉福寺~山の田)
そして列車は14時00頃に北佐世保駅に到着しました。
- 北佐世保駅 ホーム
- 北佐世保駅からの眺め
ここからは北佐世保、中佐世保、佐世保中央、そして終点の佐世保と佐世保の入った駅名が4駅続くと共に、最後の見どころがやってきます。
詳しくはネットに落ちている映像などをご覧になってほしいのですが、まず北佐世保を出て間もなく、列車は山の中に入り幾つもの短いトンネルを抜けていきます。既に佐世保市の中心部に突入しているにも関わらず、車窓からの景色は山の中のローカル線そのものでした。
そしてトンネル群を抜けると、今度は左右に建物が迫ってきます。
- 迫りくる建物(北佐世保~中佐世保)
やがて進行方向右側の車窓には蔦で覆われた建物が見えて来て、同時に列車も停車します。そう、ここが中佐世保駅です。
- 中佐世保駅の車窓
そしてここからが最大のハイライトである中佐世保~佐世保中央に入ります。ここの駅間距離は営業距離0.2kmで日本一短い区間になっているのですが、その間に国道35号を鉄橋でクロスオーバーするというイベントが行われます。
私はここまでの出来事に少し興奮していたこともあり撮り逃してしまいましたが、中佐世保駅を発車して間もなく、右手に迫る建物が突然開けます。そして眼下には国道35号とそこを走る車たちが見えてきます。列車は発車直後のゆっくりした速度で国道35号をクロスオーバーしていきます。
国道35号を渡り終えると今度は蔦の這う壁と薄汚れた茶色の通路の屋根が目前に迫ってきます。そしてそのまま列車は佐世保中央駅に到着します。
- 佐世保中央駅の車窓
ここまでわずか40秒。北佐世保駅からここまで様々な光景を目の当たりにしましたが、中佐世保~佐世保中央間の光景はかなりカオスな光景でした。本当にジブリ映画に出てきそうな異空間に来たような車窓でとても面白かったです。
佐世保中央駅を出発すると間もなく列車はトンネルに入りました。そしてトンネルを抜けて高速道路が見えてくると列車は終点の佐世保駅に到着します。
- 松浦鉄道の車窓(佐世保駅)
松浦鉄道 佐世保駅
終点の佐世保駅に到着したのは14時08分。たびら平戸口駅から1時間20分の旅路でした。
- 松浦鉄道 佐世保駅 駅名標
- 松浦鉄道 佐世保駅 1・2番線ホーム
- 松浦鉄道 佐世保駅 1・2番線ホーム(松浦方面)
- 松浦鉄道の車両に書かれた「肥前WEST LINER」のロゴ
そしてホームを早岐側へと歩いていくと、線路の終端を表す車止めがありました。
- 松浦鉄道 佐世保駅1番線 車止め
- 松浦鉄道 佐世保駅2番線 車止め
車止め付近から左右を見ると、西側にはJR佐世保駅のホームが、そして東側には駅前の商商業施設「えきマチ佐世保1丁目」が見えていました。
- 松浦鉄道 佐世保駅から見るJR佐世保駅のホーム
- 松浦鉄道 佐世保駅から見るえきマチ1丁目佐世保
車止めの奥には1階へと向かうエスカレーター・階段があり、さらに奥にはJRへの連絡改札が設置されていました。
- 松浦鉄道 佐世保駅 出口方面
- 松浦鉄道 佐世保駅 JR連絡改札(中望遠で撮影)
そして最後にホームに停車中の列車を一目見た後、私は佐世保駅の1階へと向かいました。
- 松浦鉄道 佐世保駅に停車中の列車
- 松浦鉄道 佐世保駅ホームの入り口
こうして有田駅から続いた日本最西端のローカル線・松浦鉄道93.8kmの旅は終わりを告げました。
(今回の旅では旅程の都合上、途中下車はたびら平戸口だけでしたが、有田駅や伊万里駅、松浦駅など他にも行ってみたい駅はあるので、またいつか乗ってみたいと思っています)
佐世保ミニ散策・その2
フレスタ佐世保ろくてん通り
松浦鉄道・佐世保駅を後にした私は、佐世保駅の東口に出ました。
- 佐世保駅 東口のガラス扉に貼られたポスター
- 佐世保駅 東口
- 佐世保駅 東口
時刻は14時20分頃。ここまで昼ご飯を食べていなかったので駅前でお昼を食べることにしました。
向かったのは事前に調べていた定食屋「十八番」。店があるのは高架下に作られたミニ飲食街である「フレスタ佐世保ろくてん通り」なので、高架下に沿って南に歩いていきます。
そして「フレスタ佐世保ろくてん通り」の入り口に到着しました。
- フレスタ佐世保ろくてん通り 入り口
ろくてん通りは2000年頃に取り壊しになった佐世保駅前地下街から移転してきた飲食店が軒を連ねている通りで、全長100mあるかないかくらいの通路の両脇に店が4~5軒ありました。移転してから約20年くらいしか経っていないはずなのですが、かなりレトロな感じがしました。
そんな通路の右側・手前から2番目にあるのが「十八番」というお店。
- 佐世保駅前の定食屋「十八番」
ここの名物が「海軍さんのビーフシチュー」というもので、海軍の街・佐世保にふさわしいグルメと思いやって来ました。
店の中は狭くテーブル席が数個、奥に座敷が1個とカウンター席があるだけでした。客は昼時を過ぎていたからか1人いたかいなかったかだと思います。
- 佐世保駅前の定食屋「十八番」
私は予定通り海軍さんのビーフシチューを注文しました。
- 船のいかりをあしらったテーブルクロス
- 海軍さんのビーフシチューの説明
- 海軍さんのビーフシチュー
味はあまり覚えていませんが、普通に美味しかったと思います。
えきマチ佐世保1丁目
定食屋「十八番」を出た後、まだ次の列車まで時間があったので昨日から気になっていた駅前の商業施設「えきマチ佐世保1丁目」に向かいました。
- えきマチ佐世保1丁目
- えきマチ佐世保1丁目の広場
- えきマチ佐世保1丁目に飾られたクリスマスツリー
2002年に「フレスタ佐世保」の名前で開業したこちらの施設は、2014年に「えきマチ佐世保1丁目」に改名。少しおしゃれな感じのする建物の中には、飲食店やファッション店が軒を連ねていました。
そんな「えきマチ佐世保1丁目」からは、松浦鉄道・佐世保駅や佐世保駅の東口周辺を一望することができました。
- えきマチ佐世保1丁目の2階から見上げる松浦鉄道の車両
- えきマチ佐世保1丁目の3階から見下ろす松浦鉄道・佐世保駅
- 佐世保駅 東口駅舎
- 佐世保駅 東口
- えきマチ佐世保1丁目の広場
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ちなみに佐世保駅に戻ると、またまた別の「JR最西端の駅」を表す看板がありました。2枚目の佐世保バーガーの看板はかわいい感じでした。
- JR最西端の駅・佐世保の看板
- JR最西端の駅・佐世保の看板
4日目の途中ですが、今回の記事はここまでとなります。
ここからは「シーサイドライン」とも言われるJR大村線に乗って海の見える駅・千綿へと向かいますが、続きは次回に書きたいと思います。
続きは「シーサイドライン・JR大村線の旅―2018年 九州北部一周の旅・Part21」へ
「2018年 九州北部一周の旅」のその他の記事はこちら、その他の旅行記はこちら
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