9日目(最終日・後編)〈最終回〉(2018年3月6日)
~旅の終わり〈後編〉―夕暮れの終点・新函館北斗へ―~
(「2018年 北海道一周の旅Ⅱ・Part15―旅の終わり〈前編〉~室蘭支線・7.0kmの旅~」の続き)
室蘭本線(東室蘭~長万部)の旅
嵐吹く室蘭本線
室蘭駅12時55分発の普通・東室蘭駅に乗車した私は、13時7分に終点の東室蘭駅へと戻ってきました。ここから再び室蘭本線を西へと向かいます。
13時55分発の普通・長万部(←”おしゃまんべ”と呼びます)行きに乗車した私は室蘭本線を西へと進みます。
東室蘭を出発して約15分後、黄金駅の辺りから左手には内浦湾が見えてきました。内浦湾は太平洋に面した直径50kmもの巨大な湾で、室蘭本線の線路とその先の函館本線の線路(長万部~森)は一部区間を除いてこの内浦湾に沿って敷かれています。そのため、車窓からはこの内浦湾の雄大な姿が断続的に広がっていました。
- 黄金駅
- 室蘭本線から見える内浦湾(黄金~稀府)
その黄金駅に着くあたりから外では雪が降り始めていました。やがて雪と風は急速に強くなり、黄金駅を出て数分後には暴風雪が吹き荒れていました。
- 吹き荒れる暴風雪(黄金~稀府)
近くの車窓すらかすんで見えるような緊迫した状況の中、列車は減速することもなく走り続けます。このままどうなってしまうのだろうと思いましたが、数分後には暴風雪エリアを抜けたようで、次の稀府駅に停車するころには普通に雪が降っている感じでした。
- 稀府駅
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稀府駅を出た後もしばらくは左手の車窓から雄大な内浦湾が広がっていました。あまりの雄大さと海との近さに私も含め山側に座っていた乗客の多くが海の方へと視線を向けていました。
- 室蘭本線から見える内浦湾(稀府~北舟岡)
- 北舟岡駅
- 室蘭本線から見える山々 (洞爺~豊浦)
列車は伊達市の主要駅である伊達紋別駅や、観光地・洞爺湖の玄関口である洞爺駅などに停車しながら函館方面へと進みました。
5年ぶりの日本一の秘境駅・小幌駅
東室蘭駅を出て約1時間50分後、礼文駅を出発した列車はしばらくすると長いトンネルに突入しました。
トンネルに突入してから約5分、次の停車駅のアナウンスとともに列車が減速します。そしてようやく長いトンネルを抜けた列車はゆっくりと停車しました。そこは四方をトンネルと崖と雪原に囲まれた人里離れた小さな駅―そう、”日本一の秘境駅”として名高い伝説の駅・小幌(こぼろ)駅です。
私はここ小幌駅に5年前の1度目の北海道一周の旅で途中下車しました(そのときの乗車記はこちら)。あのときは列車が遅れたことからわずか15分ほどしか居れませんでしたが、それでも雪がしんしんと降り続ける誰もいない小幌駅で”日本一の秘境駅”を体感できたのは貴重な体験でした。
そんな小幌駅を拝むのはそのとき以来5年ぶり。一時は廃止報道も出ていたこともありましたが、地元の尽力により当面の廃止は免れ、今日この日再び小幌駅を拝むことができました。
今回は時間の都合と旅の目的から逸れているのもあり車内から見るだけでしたが、5年ぶりに見る小幌駅は相変わらず神秘的な雰囲気を出していました。
- 車内から見る小幌駅
- 車内から見る小幌駅(札幌側)
列車は30秒ほど停車したのち発車しました。わずかな時間ですが5年ぶりに小幌駅を拝むことができて良かったと思います。
長万部駅
小幌駅を出ると”トンネルに挟まれた駅”の名の通り、すぐにトンネルに入ります。そしてトンネルを抜けて静狩駅に停車すると、列車は間もなく室蘭本線の起終点である長万部(おしゃまんべ)駅に到着しました。そしてこれをもって室蘭支線も含む室蘭本線218.0kmの普通列車での完乗を達成したのです。
- 乗車した普通・長万部行きの列車
- 長万部駅
長万部駅の3番線ホームに到着した私は、次の函館方面の列車が発着する1番線ホームへと向かいました。1番線ホームへと向かう跨線橋からは雪と夕焼けに包まれた長万部駅を一望できました。
- 長万部駅の跨線橋からの眺め(札幌方面)
- 長万部駅の跨線橋からの眺め(函館方面)
- 長万部駅1・2番線ホーム(札幌側)
長万部駅に到着してから約15分後、1番線に特急「スーパー北斗14号」函館行きが入線してきました。私は列車の後方(札幌側)にある自由席車両に乗り込み発車のときを待ちました。そして15時49分、列車は定刻通り長万部駅を発車しました。
- 長万部駅に入線する特急「スーパー北斗14号」
旅の終わり~夕暮れの終点・新函館北斗駅~
新函館北斗駅 在来線ホーム
長万部駅を出発した列車は軽快な速度で函館方面へと向かいます。暖房の効いた車内で普通列車とは違いフカフカしている座席に座っている私は長旅の疲れと眠気も相まって時おりウトウトしながらぼんやりと外を眺めていました。
長万部駅を出発してから約1時間後の16時54分、列車は新函館北斗駅に到着しました。
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新函館北斗駅は2016年3月に開業した北海道新幹線の終点ですが、かつては渡島大野(おしまおおの)という小さな駅でした。ネットとかで調べるとログハウス風の駅舎が特徴的な小さな駅で、跨線橋からは緑豊かな山々が見える小さな駅だっだそうです。
実は私、旧駅舎解体後の2014年9月の旅行でこの渡島大野駅のホームに降り立っています(そのときの旅行記はいずれ書きたいと思います)。通過待ちのわずか数分だったのでホームから駅構内の様子を見るのが手一杯でしたが、小さな駅に似つかわしくない巨大な建造物(建設中の新幹線ホーム)が印象的でした。
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あれから3年半。北海道新幹線の終点へと生まれ変わった新函館北斗駅の在来線ホームに降り立ちました。
- 新函館北斗駅に停車中の特急「スーパー北斗14号」
約3年半ぶりに見る新函館北斗駅は全く別物になっていました。かつてのホーム(といっても工事期間中の仮設ホームですが)は長さは短く屋根もありませんでした。しかし今は特急列車も停まれるようにホーム長は格段に伸び、黒色のしっかりとした屋根が付いていました。これを見るだけでもここがかつての渡島大野駅とは思えないほどです。
私が降り立った2番線には函館行きの、そして3番線にはおそらく札幌行きの特急列車が停車していました。これもかつての渡島大野駅ではありえない光景でした。
- 新函館北斗駅の在来線ホームから札幌方面を見る
- 新函館北斗駅3・4番線ホーム
- 新函館北斗駅 在来線の駅名標
2本の特急列車が出発した後、私は出口を探してホーム中央へと向かいました。すると、「新幹線のりかえ」と書かれた看板と建物内に続く扉が見えてきました。なのでここを右に曲がり、建物の中に入りました。
- 新函館北斗駅 2番線ホームの中ほどにある新幹線乗り換え改札の案内板
すると目の前には新幹線の乗り換え改札とホームが見えていました。
新函館北斗駅 新幹線ホーム
私はこれを見たとき、最初はこの改札が新幹線の正式な改札口だと思いました。それくらい台数も多く立派な改札口でしたが、実際には新幹線と在来線の乗り換え改札口だったようです。
- 新函館北斗駅の新幹線 乗り換え改札
- 新函館北斗駅の新幹線乗り換え改札口の窓口
- 新函館北斗駅の乗り換え改札口にある新幹線の発車案内板
改札機や窓口も真新しくとてもきれいで、開業からすでに2年近く経っているはずですがその新しさに感動しました。
そして改札をくぐった私はついに北海道新幹線のホームへと足を踏み入れました。
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新幹線ホームは柱がむき出しの屋根のせいか乗り換え改札ほどは明るくなく、少し暗い印象でした。ホームは思ったよりも狭く、白い四角の柱が何本も立っているのが印象的でした。
- 新函館北斗駅 11番線ホーム(終端側を見る)
- 新函館北斗駅 11番線ホーム(東京側を見る)
- 新函館北斗駅ホームの発車案内板
- 新函館北斗駅 新幹線ホームの駅名標
そしてホームの途中には上へと昇るエスカレーターがあるのに気づきました。まだ次の列車には時間があったので上へと昇ることにしました。(エスカレーターもかなり真新しかったです↓)
- 新函館北斗駅 新幹線ホームのエスカレータ
そして上に昇るときれいで広々とした空間が広がっており、その一方に改札口がありました。私はここでようやくこっちが正式な改札であることに気づきました。
- 新函館北斗駅 新幹線改札口
- 新函館北斗駅 新幹線改札口構内の様子
- 新函館北斗駅に置かれた新幹線型の掃除機
新幹線改札内には新幹線の駅で見かける大きな待合室や土産屋さんはなく、ベンチが置いてあるのとKIOSKが一軒あるだけでした。私はそこのKIOSKで夕飯用の弁当を買い、列車が来るのを待ちました。
旅の終わり
17時10分ごろ、11番線ホームに「はやぶさ34号」東京行きが入線しました。車両は東北新幹線でおなじみの明るい緑が印象的なE5系新幹線でした。
- 新函館北斗駅に入線した「はやぶさ34号」
- E5系新幹線のシンボルマーク
写真を軽く撮った私は指定席券に書かれた車両から列車の中に乗り込み、発車の時を待ちました。そして17時21分、列車は終点・新函館北斗駅を出発しました。
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外は段々と暗くなり、途中の木古内駅を通過するころには外もかなり暗くなってきました。木古内駅を通過した列車はやがていくつかの短いトンネルを経て世界屈指の長さを誇る海底トンネル「海峡トンネル」へと入りました。北海道と本州を結ぶ海峡トンネルへの突入をもって、自身最長となる8泊9日の長きに渡った人生2度目の晩冬の北海道一周の旅は終わりを迎えたのです。
〈完〉
2018年北海道一周の旅Ⅱ 感想
ここまで実に16回に渡って2度目となる晩冬の北海道一周の旅の旅行記を書いてきましたがみなさんいかがだったでしょうか。私・会社員NK史上最長となる8泊9日の旅では本当に様々なことがありました。白銀広がる留萌本線、早朝の富良野線、根室本線・代行バスから見たかつての日本三大車窓、誰もいない根室本線の車内から見る冬の太平洋、早朝の花咲線の絶景、雪道で転倒した日本最東端の駅・東根室、途中で襲った5年前の旅と同じ規模の爆弾低気圧、真冬の網走監獄、今は亡き湧網線の資料館、工場地帯を走る室蘭支線、そして生まれ変わった新函館北斗駅などなど、挙げればきりがありません(というよりこの時点で挙げすぎですが汗)。
そして何よりのハイライトは5年越しの悲願だった日本最北端の地・宗谷岬への到達です。片道6時間に及ぶ普通列車での宗谷本線の旅はローカル線の旅の極みでしたし、終点・稚内からバスで向かった日本最北端の地・宗谷岬は日本の最果てにふさわしい光景が広がっていました。
そんな真冬の北海道を存分に満喫した今回の旅はまさに集大成にふさわしい壮大な旅となりました。おそらくこんな旅はもう二度とできないでしょう(と言いつつ定年後にやっていたりして笑)。
そしてあまりにも壮大だったので記事をすべて書き終えるのに5か月以上もかかり、記事数も16回に渡る壮大な旅行記となりました。約5か月に渡って読み続けて下さった読者が果たしているのか怪しいところですが(笑)、一部だけでも読んでくださった読者の皆様にはこの場で感謝申し上げたいと思います。
これを持ちまして「2018年 北海道一周の旅Ⅱ」の旅行記はこれにて終わりにしたいと思います。
次回の旅行記はまだ迷っていますが… 近いうちに書き始めたいと思います笑。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
今後も当ブログを是非ともご愛読くださいますようよろしくお願いします。
「2018年 北海道一周の旅」のその他の記事はこちら、その他の旅行記はこちら
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