2018年 北海道一周の旅Ⅱ・Part8ー山の上の流氷館へ

5日目・前編(2018年3月2日)
~山の上の流氷館へ~

(「2018年 北海道一周の旅Ⅱ・Part7ー私、刑務所に入ります~釧網本線と網走監獄~」の続き)

オホーツク流氷館を訪ねて

オホーツク流氷館へ

旅行5日目の朝。この日の朝はゆったりとしていました。というのも前日の午後からやってきた爆弾低気圧の影響で午前中の列車の運休が既に決まっていたので、早く支度する必要がなかったからです。

なので朝の8時頃になってホテルの1階に降りた私はそこで朝食をとりました。朝食はバイキング形式で、ロビー横の広いスペースにテーブルと椅子が配置されていました。窓から外を見ると雪は降っていないようでしたが、時おり吹く強風で雪が舞い上がっていました。

前日の午後からやってきた爆弾低気圧は深夜に北海道を通過し、朝を迎えるころにはオホーツク海沖に抜けていました。しかし低気圧はオホーツク海沖に停滞して発達を続け、網走地方に強風をもたらしているとのことでした。

前日の予想では、この日は網走のホテルの部屋に一日中いる羽目になるか運良く外に出れても目の前に建つ網走駅に出るのが精いっぱいかなと思っていました。しかし時おり強風は吹いていたものの嵐のピークは越えているようで、外に出ることは可能な感じがしました。そこで爆弾低気圧の影響が色濃く残る中、事前に調べて興味を持った施設を思い切って訪れることにしました。

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午前10時40分頃にホテルの外に出た私は、目の前にある網走駅前バス停に向かいました。そこから前日も乗車した網走バスの「観光施設めぐり線」のバス(午前10時53分発)に乗り込み、前日と同様に天都山を目指しました。向かったのは天都山の山頂にある「オホーツク流氷館」です。

「オホーツク流氷館」は天都山の山頂にある観光施設で、流氷に関するパネル展示やオホーツク海に住む海洋生物の展示を行っている網走市立の科学館です(2018年2月当時)。

バスは前日訪れた網走監獄のバス停を経由してさらに山を上ります。網走駅を出発してから約15分、バスは午前11時5分過ぎに「天都山流氷館」バス停に到着しました。

バス停を降りると左手の丘の上にオホーツク流氷館の建物はありました。バス停からその建物までは駐車場を挟んで約100m。当然歩いて向かうのですが、風が強いためなかなか前に進むことができません…

加えて、強風で舞い上げられた雪が体に吹き付け、視界が少しですが悪くなることも何回かありました。そんな状況の中、約100mの距離をゆっくりと数分かけて歩いてようやく建物の中に入ることができました。

建物の中に入ると、1階は天井が高い吹き抜けのような構造になっており、手前にチケットカウンター、奥に売店らしきものが見えました。私は手前のチケットカウンターでチケットを買うと、順路に沿って地下へと続く階段へと向かいました。その階段に入ると、階段の中の壁は海の中を思わせるような装飾が訪れており、幻想的な感じがしました。

流氷幻想シアター

地下1階に降りた私はまず左手一番奥にある「流氷幻想シアター」に向かいました。このシアターでは網走の目の前に広がるオホーツク海にやってくる流氷とそこに生きる鳥や海の生き物の姿を上映していました。その姿はまさに冬の北海道の自然そのものという感じがしました。

約8分間の上映が終わると、次はシアターの手前側にある展示パネルを見ました。この展示パネルには流氷にまつわる様々な解説が書かれており、子供連れで来たらいい勉強になるのではないかなと感じました。

流氷館に住むオホーツクの生き物たち

パネル展示の手前、階段を降りて左手すぐのところにはオホーツク海で見られる海の生き物が幾つもの小さな水槽に種類ごとに分けられて展示されていました。

オホーツク海を代表する海の妖精・クリオネを始め、様々な生き物が展示されていました。個人的にはフウセンウオという魚を気に入っており、その名の通り風船みたいに膨れて床にちょこんと座っている感じがかわいいなと感じました(結構いい写真も何枚か撮れたので下に掲載しておきます)。またクリオネが小さなヒレを使ってちょっとずつ進む姿も見ていて飽きなかったです。

クリオネは想像以上に小さくてビックリしました。小さかったので良い写真を撮るのに大分苦労しました笑。

流氷体感テラス

今見たオホーツク海の生き物の水槽展示に並ぶ流氷館もう一つの目玉が「流氷体感テラス」です。「流氷体感テラス」では-15℃の室内で本物の流氷に触れることができる部屋で、極低温の世界と流氷の世界を同時に体感することができます。

部屋の入り口ではコートを借りることができますが、この日はすでにダウンジャケットを着ていたのでそのまま係員の案内に従って部屋に入りました。

部屋の中は-15℃。何日か前の早朝に旭川を出発するときと似たような気温でそのときと同じくらい寒かったです。中には流氷が置かれており、その上にはアザラシやキツネの模型が置いてあったりしました。

展望テラス

地下1階の展示物などを一通り見たり体験した私は昼の12時手前に1階に戻り、そこから3階に上がりました。

流氷館の3階は室内展望室と屋外の展望テラスからなっています。しかしこの日は爆弾低気圧による強風が吹き付けているため、屋外にある展望テラスに出ることは出来ませんでした(屋内展望室は屋内なので入れました)。

展望テラスに面している窓からは、雪が残る展望テラスを挟んで冬枯れした木々の中に雪に覆われた網走の街並みを遠くに望むことができました。

そして展望テラスとは反対側の窓からは冬枯れした木々と雪一面に覆われた広大な土地が見えました。後で調べたところ、手前左側の白い大地は網走湖、奥に見える白い大地は能取湖でした。つまり2つの大きな湖が両方とも雪に覆われていたのです!

網走駅への帰還

展望テラスから網走の街や湖群をしばらく眺めた後、12時15分頃には1階の売店コーナーにやってきました。ここでは流氷や海の生き物にまつわるお土産が多数売られていました。

さて次のバスは事前に確認したところ12時45分発でした。しかし入り口から外を見ると時折り強風で雪が舞い上がっている状態で、このまますぐにバス停に向かうと強風と寒さでまじめに凍え死にかねないと思いました。そこでギリギリまでお土産コーナーを散策したり1階のベンチで休んだりして建物の中で過ごしました。

とは言えいつか外に出ないといけません。12時38分頃、私は強風が吹く中外に出て約100m先のバス停を目指しました。

建物を出ると駐車場は舞い上げられた雪で少しかすんでいるようでした。

そして階段を降りて駐車場を進んでいくと目の前には目を疑うような光景が広がっていました。なんと網走駅方面のバス停に並んでいる人の列に容赦なく雪が吹き付けていたのです!

この人たちはこんな状態の中でバスを待っているのかと思いつつも、私もそこに並ばなくてはいけません。私もその列に加わりました。

しかし道路沿いの恐らくガードレールに積もった雪は、強風によって舞い上げられ容赦なく私たちを襲いました。他に並んでいた人たちはフード付きのコートなどを着ていましたが、私だけフードのないダウンジャケットを着ていました。そのため舞い上げられた雪と強風が容赦なく口元も襲い、呼吸をするのすら難しい状態に陥っていました。このままだと本当にまずいと思った私は、咄嗟に学校の火事の避難訓練のときの酸素確保の要領でティッシュペーパーを2枚ほど取り出して口元に当てました。これによって何とか風と雪が口の中に入るのを防いで呼吸を確保することができました。

とはいえ他の人よりも私の方が防寒対策が軽いことには変わりなく、強風と寒さが私の体を冷やしていきました。本当にこのままの状態が続くと、人目があるにも関わらず私だけ遭難状態になって倒れるのではないかと思いました。

バスがこんな強風の中でも本当に来るのか不安になりながら強風と寒さに耐えること約5分、バスはようやくその姿を現しました。私も順番にバスに乗り込み、目の前の空いていた席に倒れるように座り込みました。冬の自然の脅威を体感させられた5分間でした。

バスは15分ほどで網走駅前バス停に着きました。その間に手足を温めて体力と気力をある程度回復した私はホテルには戻らずそのまま網走駅の駅舎の中に入りました。

列車の来ない網走駅

網走駅の駅舎の中には列車の運転再開を待つ多くの乗客がおり、待合室の中もほぼ満席でした。

待合室から改札口の方に出てみると、改札口の前には運休を告げる立て看板が立てかけられ、頭上の電光掲示板タイプの発車案内板には何も映されていませんでした。今まさに網走駅は列車の来ない陸の孤島と化していたのです。

私は待合室に再び入り空いていた席に腰掛けました。待合室の中では相変わらず大勢の乗客が運転再開のときを待っていました。

 


5日目の途中となりますが、今回はここまでとなります。

この後は、今は亡き湧網線の痕跡を求めて網走市鉄道記念館・卯原内交通公園へと向かいますが、続きは次回の記事に書きたいと思います。

 

続きは「2018年 北海道一周の旅Ⅱ・Part9ー今は亡き湧網線を求めて」へ

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